2016年8月2〜4日
「日本百名山完登--飯豊山--」


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2016年6月に60歳を迎えた私はその夏いよいよ日本百名山全制覇を達成すべく飯豊山に向かった。

飯豊山が百名山最後の山になったのは幾つかの事情のせいだが、最後の山として選んでいた訳ではない。

飯豊山は飯豊連峰の主峰であるが、どうせ登るなら連峰を縦走したい。それには日数を要する。

そのことも最後になった理由の一つかもしれない。

歳のせいか下山後に温泉に入るのは頂上到達と同じくらい大きな楽しみの一つである。

それ故、下山口は飯豊温泉の飯豊山荘に決めた。夏の間はJRの駅までのバスの便もある。

入山口は主要縦走路最南端の三国山の登山口がある弥平四郎の集落と決めた。人名が地名になっている。

弥平四郎までは地元の町が運行する町民のためのバスがあり、登山者も利用できる。

事前の予約が必要で少々面倒だが他に公共交通機関は無い。タクシーは避けたかった。



50歳を過ぎた頃から、定年退職までに百名山を全て登りたいと考えていた。

定年退職後に空いた時間で残りの山を縦続けに登り、達成する人は多い。

私は一般社会人として仕事と両立させながら仕事の合間に山に出かけて達成させることに拘った。

いわゆる「プロレタリア登山家」でありたいと思い続けた。

登山は元々金と時間に余裕のあるインテリ(主に学生)たちの誇り高き趣味であった。

山に嵌った一部の自然(山岳)愛好家たちは山小屋やロッヂを建て、登山ブームの先駆けとなった。

1960年代に入って山に憧れる一般の人も増え道具も普及し登山道も整備され登山者が増えていった。

1970年代にはシーズン中の登山バスや山小屋はどこも満員、登山用品を売る店も全国に存在した。

1980年頃は夏に限らず週末には新宿からの中央本線の夜行列車が5本位出ていたし満員だった。



2010年代、私は50代になっていたが、あいも変わらず山歩きを趣味としていた。

55歳を過ぎた頃からは、100名山達成ために残りの山を計画的に配分して登り続けた。

百名山登頂を達成できたのは私自身が健康を維持していたせいでもあり、家族の御蔭だとも思っている。

教員としての最後の夏休み。教員だからといって生徒と同じように仕事に夏休みがあるわけではないが、

一般会社員に比べれば8月は休みが取りやすいことは事実である。30年間その恩恵に預かってきた。

梅雨も明け、早速、日々変わる天気図を睨んで、出発のタイミングを図った。

8月1日の夜行バスで会津に向かうことにした。「夜行」は朝から行動できるのでありがたい。

バスではあまり眠れなかったが無事に時間通り会津若松駅前に到着、すぐJR磐越西線に乗り換えて、

登山口行きの町営バスが出る野沢駅へ向かった。

バスの客は私一人。雨の中を登山口のある山奥の集落を目指して1時間近く走った。

料金500円。申し訳ない気がした。バスは私を下ろして細い下り坂の道を引き返していった。

山は霧が立ち込め雨は一日止みそうにないが、登るしかない。気持ちを引き締めて歩き始めた。

天気のせいか或いはメインルートと異なるせいか頂の小屋に着くまで3人とすれ違っただけだった。



◆1日目 8月2日(雨) 弥平四郎〜祓川山荘〜松平峠〜三国小屋(泊)


野沢駅(回送を含むので5両連結のキハ110系)


松平峠から弥平四郎方向


疣岩山の肩で巻岩山からの道と合流


夕刻雨も止んで三国小屋に到着。(右端は小屋番の主)

◆2日目 8月3日(曇り)三国小屋〜飯豊山山頂〜御西小屋〜梅花皮小屋(泊)


三国小屋から日の出前


三国小屋から飯豊山方向


三国小屋から日の出


種蒔山から三国岳(頂上に三国小屋)

種蒔山〜飯豊山で見られた高山植物





キキョウ科ヒメシャジンと思われる





せり科ミヤマゼンコと思われる





ききょう科タカネツリガネニンジンと思われる








本山小屋と飯豊山神社(右奥)


飯豊山頂上にて日本百名山完登達成

飯豊山山頂〜御西小屋で見られた高山植物








ゆり科ニッコウキスゲ


御西小屋

御西小屋〜烏帽子岳で見られた高山植物





いわうめ科イワカガミと思われる


ごまのはぐさ科ヨツバシオガマと思われる


なでしこ科タカネナデシコと思われる


ばら科チングルマと思われる








梅花皮岳の下りから梅花皮小屋(中央)

◆3日目 8月4日(晴れ)梅花皮小屋〜北股岳〜門内小屋〜梶川尾根〜飯豊山荘(泊)


梅花皮小屋から日の出前


日の出の時の梅花皮小屋


梅花皮小屋から日の出


北股岳から梅花皮岳・烏帽子岳・飯豊山(奥)

北股岳〜門内小屋で見られた高山植物








門内岳と門内小屋(中央)


梶川尾根から飯豊山


梶川尾根から雲海


梶川尾根から梅花皮雪渓


飯豊山荘

お昼前には下山終了。

予約しておいた飯豊山荘のチェックインまで時間を渓流の水で足を冷やして過ごしました。

飯豊山荘は空いていました。天然温泉掛け流しの内湯があり夕食まで時間を潰しました。

翌日は路線バスでJR米坂線の小国駅に出て、米沢経由で鈍行乗り継ぎで帰りました。

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