2025年12月1〜5日
大人の休日倶楽部パスの旅(前半編)


  目次へ戻る


◆12月1日(月)晴れ

朝5時半に家を出て東上線・埼京線を乗り継いて大宮へ

都内の人の旅の出発点を東京駅や新宿駅や羽田空港とするなら、北へ向かう時の僕の旅は大宮駅が出発点となる。

数年前の新幹線大宮駅は列車の種類が多く数分おきに発着するのでホームに佇んでいても結構楽しめる駅だった。

今は2階建てのE4系は消え、広窓のE2系が時折姿を見せる。上越・北陸方面は全てE7系に統一され面白味は減った。

大宮駅の構内は東京駅に劣らず広くて乗り換え客も多い。僕も普段は乗り換えに利用するだけだが初日なので西口に出てみた。

早朝なので、駅に向かう通勤客が通り過ぎるだけでベンチに座る人も少ない。鳩が我が物顔で歩き回っていた。

新幹線の車窓に期待感はなく、今回の旅の最初の期待は長野駅の立食い蕎麦。

地元長野県民の愛されていれば間違いなしの駅の立食い蕎麦だが

一押しは長野駅新幹線上りホームの立食い蕎麦。美味くてコスパの良さ。今時かき揚げ蕎麦が430円は貴重。


新幹線で一駅戻り上田着。今回の旅2つ目の期待は別所温泉の外湯。

往復乗車券と入浴券2枚セットで1350円で片道590円だからコスパが良い。


終点の別所温泉は最後は40‰の勾配を登り切り斜面に突っ込むような形だから、これ以上延伸できなかったのだろうが

温泉街は800mほど先にあり歩いて10分掛かる。


駐車場は温泉街の近くにあり、電車よりマイカーや団体バスの客が多いに違いない。

時期のせいか時間帯のせいか温泉街に人はなく外湯も1〜2人の先客しかいなかった。

大師湯と石湯、石湯の方が広くて雰囲気があった。


大急ぎでふたつの外湯を梯子して上田に引き返す。新幹線で隣の佐久平着。今回の旅の期待3つ目は小海線。

小海線のホームは新幹線の上にあって見晴らしがよい。


小海駅を過ぎると勾配が急になり次の松原湖駅まで100m以上登る。ひたすら登って野辺山駅に着く。

高原の駅の感じがする。5分ほど停車しますのアナウンスでみんな車外に出て記念撮影をする。

僕は駅の脇線に留置されている保線車両とバックの高原の風景を撮る。


最高地点の記念碑の傍の踏切を過ぎて下り勾配。小淵沢までひたすら下る。

小淵沢駅で新宿行き「あずさ」に乗り換える。乗って来たキハは111-111だった。


ホームの少ない駅なのに小海線のすべてと中央本線の一部がここで折り返し、利用客の大半が観光客。

「あずさ」は勾配とカーブの連続する山の中の在来線を限界速度で快調に走り続け定刻に新宿着。

埼京線の通勤快速で川越、東上線で一旦帰宅。


◆12月2日(火)晴れ

前日と同じコースで大宮へ、「はやぶさ1号」で八戸へ。大湊行快速で乙供駅下車。


今回の旅の期待4つ目は東北温泉。インバウンドの旅行者たちが絶対来ないだろう温泉を目指す。

駅から徒歩7分で宿泊施設併設の立派過ぎる建物で鄙びた感は皆無だが黒湯は珍しく良い湯だった。


のんびり入ってもまだ時間があるので駅前の小さなスーパーでおにぎりと缶ビールを買って駅で食す。

2駅八戸方向へ引き返し小川原駅下車。今回の旅の期待5つ目は姉戸川温泉。

実は下りの快速の車窓から通過する時に建物が見えたのだがまるで廃業した感があったので心配だった。

東北温泉の受付の人に姉戸川温泉が今も営業しているか聞いてしまった。失礼だったかもしれない。

姉戸川温泉の名前の由来が気になるが駅から徒歩1分の場所にある。駅名が姉戸川温泉だったら流行るかな。

受付の親父さんは300円の料金を受け取ると再び奥の部屋に引っ込んでしまった。温めのかけ流し。客は私一人。


再び八戸から「はやぶさ」に乗って大宮まで戻り川越経由で帰宅。東北新幹線は退屈で2時間が限界、疲れた。


◆12月3日(水)晴れ

今回の旅の期待6つ目は仙台行き特急「ひたち」。

券売機で東京から仙台の特急指定券を買おうとすると新幹線ルートしか表示されず苦労した。結局、品川から仙台で「ひたち」が表示された。

東日本大震災から常磐線が全線復旧した際、地元の要望で上野〜仙台の特急が復活した。

復活直後に乗った時は上野駅地上17番線始発だったが、上野東京ラインが完成して品川始発になった。

上野駅地上ホームから出る長距離列車の復活(できれば夜行列車)を願う僕としては不本意ではあるが、今回は東京駅から乗車してみる。

まずは東京駅の丸の内側に出て旅立ちの襟を正す。東京で銀杏並木は青山が有名だが丸の内もなかなかである。

前々回は品川から前回は上野高架ホームから乗車したが、機能本位の雰囲気で旅情皆無だった。

ほぼ満員だった車内はいわき駅から乗車率20%位になり、こまめに停車して僅かずつ乗降があり仙台に定刻着。

いわき〜仙台は10両の必要が無いと思う。乗客は少ないがこの長い区間で車販が無いのは不便。

私の理想は上野地上ホーム発常磐線経由盛岡行きの食堂車付特急列車。アンチ新幹線派には歓迎されるし「旅人」の利用は少なくないと思う。

新幹線で仙台から引き返す形で福島駅下車。今回の旅の期待7つ目は飯坂温泉とその往復に利用する福島交通。

片道430円だが、往復の切符と外湯入浴券がセットになった切符があって1000円。コスパは良い。


運転室の後ろで前方を見ていると第3種踏切が多いことに気付く。踏切と踏切が数mしか離れていない所もある。



住民にとっては便利だ。住民あっての鉄道という精神なのだろう。面白いのは終点で電車は僅か30秒で引き返す。



外湯の波来湯は飯坂温泉駅から100m程のところにある。外観は風流だが内部は近代的で新しく情緒は無い。


せっかく川沿いにあるのだからそれを生かした造りにすればよいのにと思う。

その川沿いにホテルが立ち並んでいるが、その内の何棟かは廃屋の状態のままだ。同様の「屍ホテル」は全国の観光地に少なくない。

旅行者が減ったのではなく旅の形態が変わったためだ。再利用しないなら撤去すべきなのに、させる方法が無いのだろうか。

ちなみに、駅が廃止されると直ぐに撤去や処分に掛かるJRのやり方にも賛成はできない。

悪戯防止と安全のためだろうが、即日入口を閉鎖してベニヤ板で窓を覆ってしまうのは住民感情を無視している。

しばらくは駅舎はそのままにして「今までご利用ありがとうございました。」の看板と掲示板くらい残してほしい。幸福駅みたいに。

後半編へ

目次へ戻る