1993年12月〜1994年1月  3度目のアメリカ合衆国   戻る

 今回は東部をニューオーリンズからボストンまで鉄道で北上する。ニューオーリンズでレンタカーを借りてミシシッピー川の下流流域をドライブし、ニューヨークでは地下鉄に乗りまくって市内見物をする予定。

 12月25日12時成田空港着。予約しておいたシカゴ経由デトロイト行きの便(第6便)がキャンセルとなり、 それより30分後発のデトロイト行き直行便(第12便)に変更してくれる。16時成田発。機内に入ってびっくり。僕の席はビジネスクラスだった。チケットを見る。確かにそうなっていた。クリスマスプレゼントですね、とスチュワーデスさんが言う。デトロイトでニューオーリンズ行きに乗り換えるが、4時間待ち。空港内のカフェテリアで珈琲を頼んだら、なんと珈琲は無料だった。ニューオーリンズに21時頃着いたが、レンタカーのチェックアウトに手間取って、空港を出たのが22時を過ぎていた。ダウンタウン近くの安モーテルにチェックイン。事務室でガラスの仕切りの向こうで番をしていたのは中国系のおばさんだった。26ドルの安モーテル。12時半に寝る。

 12月26日午前2時半(時間はデトロイト時間のまま)に一旦起床。絵葉書を書く。
5:30〜6:00早朝のニューオーリンズ市街をドライブ。6:30〜12:30睡眠。 午後1時半市の中心にあるユニオン駅でニューヨーク行きのアムトラックのチケットを購入。大きな駅だが発着する列車は殆ど無くチケットカウンターの係員以外に人影は無い。13:51〜55ブロード通りを車で。14:18ミシシッピ−川を渡る。 23号線を南下。ベニス集落まで。17時半にモーテルにチェックイン。27ドル30セント。部屋でスーパーで買ったビール2本を飲む。10時45分就寝。今日の食費:マクドナルド、2.99ドル。KFC、2.85ドル。スーパーマーケット、11.65ドル。マクドナルドで財布をトイレに忘れ、4時間後に取りに行って店の人に事情を話したら、無事手元に戻った。とてもうれしい。アメリカは信頼できると思った。

 12月27日午前1時(ニューオーリンズ時間)一旦起床。時差ぼけが直らず寝れない。午前3:40〜4:00ドライブ。 ガススタンドでコーラ、ホットドッグなどを購入。2.20ドル。でかいパトカーが3台パトロールしていて擦れ違った。時間が時間だけに、怪しまれたらどうしようかと思ったが何事も無かった。モーテルに戻るが、時差ぼけでなかなか眠れない。 8時半出発。海の湾に架かるながーいながーい一直線の橋を渡る。ハンドルもアクセルも一定のまま、そして両側ひたすら海だけの同じ景色のまま走りつづける。途中で眠くなりそうだった。9:14〜9:42。28分かかって渡りきった。 10:30Franklintonあたりのスタンドでガス(ガソリン)を10ドル分入れる。1ガロン当たり99セント。日本の5分の1の安さである。35号線を北上。Forestという町に3時半頃着く。モーテルの全米チェーン店「Best Westorn」へチェックイン。スーパーでトレーナー($6.75)、セーター($20.00)、ベートーベンとバッハのカセットテープ(各$2.95)を購入。どれも安い。スーパーで食品を10ドル位。ここの「Best Western」のまわりは地名の通り真暗闇の林。びんビール($1.09)を飲む。この辺はNational Forest(日本語では国定公園と訳す)なのだけれどロッキーの辺りのNational Park(国立公園と訳す)に比べたらどうってことはない。山もなく谷もなく。川もない。勿論高層ビルもない。TVを見る。今日27日もまだクリスマス番組をやっている。今見ているのは、キリスト生誕の場面のミュージカルである。アメリカ人にとって、この様なものは、たいへんありがたいものなのだろうか。日本の奈良のお水取りや獅子舞に通ずるものなのか。人間はとにかく何かを求めて止まないものなのかも知れない。そう言えば、今日たまたま教会の前に車を止めて休んでいたら牧師が車でやってきた。やはりとても清らかな御姿であった。お車は茶色のバンであらせられた。”Frazer Methodist Hour"という番組であった。大きな教会からの中継らしい。5:30寝る。

 12月28日。日記でもつけていないと今日が何日かわからなくなりそう。観光でもなく、ただ居る、うろうろしていると言う感じだ。アメリカに居るのに信州にでもいるような平常心だ。10時に眼がさめる。11時に出発。もう1泊しようかと思ったが、やはり出てしまった。20号線を40分くらい走ったところのレストエリアに車を止めて、トイレの掃除が終わるのを待ちつつ、昨日買ったバッハのカセットを聞く。Yシャツ1枚と半ズボン姿。おだやかな小雨の昼下がり。2:23土砂降りの雨の中Mississippiを渡る。河川敷は無く川幅いっぱいに水が流れていて巨大な運河のようだった。橋の長さでは日本の利根川の橋の方がずっと長い。橋は立派だったが思っていたほど川は大きくはなかった。中国の黄河の方が、感動的だった。林の中に農場が点在するMississippi州から一面どこまでも畑が広がるLouisiana州に一変した。2:56に65号線へ入り北上。 湖(多分Mississippi川の三日月湖だと思う)のそばのモーテルに入る。午後4時。このモーテルには冷蔵庫もヒーターも無いだ。どうやら夏のリゾート地のモーテルらしい。がらがらのモーテルの同じ敷地内にレストランがあって驚くことに営業していたので、夕食を取るため入る。客は僕一人。営業しているのが不思議なくらいだ。そもそもこの村自体に人気が無い。えびフライとビール、珈琲で$10.79だった。チップ$2をテーブルに残す。夜10時ころ喉が乾いて買いに出る。ドライブスルー形式のコンビニがあってビールとコーラを買って$1.38。安くてびっくり。

 12月29日。午前2時になっても時差ぼけがまだ直らないせいで眠れない。一日走り続け、ひたすら南下して午後5時半にメキシコ湾沿いの町に着いた。モーテルに入る。40ドル。スーパーでビールを買おうとしたらレジのお姉さんが身分証明書を見せろと言う。無いと言ったら、売ってくれなかった。37歳だというのに。デニーズでスパゲティーを食う。量が日本の2倍はあって3分の2食べるのがやっとだった。7.21ドルなので20.21ドル払ったら、ちゃんと札だけの13ドルが戻ってきた。アメリカ人もちゃんと引き算できるじゃん。店を出て一応調べたら12ドルしかなかった。がっかり。3日前スーパーで11.25ドルの買い物をした時、10ドル札が無かったので20ドル札と1ドル札と25セントを払ったら、1ドル札を受け取らないで先に返すのだ。それから9ドルのお釣りを3回数え直して確かめてから渡してくれたのだった。日本だったら1125円の買い物に5125円渡して4000円の釣りがちゃんと戻ってくるけどな。アメリカでは端数を添えて支払う意味のわからない店員は珍しくない。前々回のアメリカ旅行の時から、アメリカにおける算数教育の実態というものに多少の興味があって、時どきその支払方法を試しているけど、成功率は50%を切っている。今日は酒無しで寝よう。

 12月30日。メキシコ湾に面した長い浜をうろついた後、午後にGrand Isleというミシシッピ―川河口の突先へ行く。4〜5時間くらいかかった。State Park(州立公園と訳す)なのだが特にどうということも無かった。近くを時々(1時間に1本くらい)貨物列車が通る。すばらしい!!音がいい。ホイッスルがいい。

 12月31日(金)。いつもより早起きする。前夜はビール2本飲んで風呂にも入らず寝た。8:20モーテル出発。8:40今日の宿---駅近くのCorfere Innの下見をした後City Parkをぶらぶら。そして9:35その北の湖畔にいる。11:30〜13:30ミシシッピ−川の蒸気船でのクルーズ。路面電車に乗ってみたり、ストリートパフォーマンスのジャズを聞いたりして1日過ごす。旧市街にあるユースホステルに泊。2泊分の25ドルを払う。日本に比べたら格段に安い。否、日本だけが格段に高い。

 1月1日。日本ほど特別な日ではないようだ。ダウンタウンはいつも通り賑やかで。ジャズを目当てにぶらぶら歩き、市電にも乗って楽しんだ。全部で50位も停留所があり、途中下車しながら全線乗ったが、なかなか乗りごたえのあるものだった。車輌は木製の古いものだった。女性の運転士にも2度めぐりあった。

 1月2日。早朝ユニオン駅まで歩く。アムトラックは指定券を持っていても、飛行機みたいにチェックインすることになっている。荷物を預け身軽になったので、列車をホームから一通り見学する。機関車1両、荷物車2両、客車4両、食堂車1両の8両編成だった。ニューヨーク行きのアムトラック「CRESCENT号」は定刻に出発した。広い農業地帯をひた走り、町らしい町もなく、アレキサンドリアという駅に停車したこと以外に特に記憶は無い。途中駅のアットラーナ(日本ではアトランタと発音する)駅でバーミンガムから来た列車の4両と増結車両の3両の連結作業が行なわれるためしばらく停車。ラウンジ車1両、客車6両、荷物車1両が新たに増え、機関車も2台になって17両編成になった。僕はその中の増結されたファーストクラスの個室寝台車で1夜を明かすことになっており、車両を移動する。2001号車、ルーメット4号室。ファーストクラスなので3度の食事付き。ところが車内放送での夕食開始の案内を聞き損ねてしまい、後で食堂車に行ったら、もう終わりだと断られた。仕方ないので隣のラウンジカーでスナックを仕入れディナーの代わりとする。その話を聞いてくれた若い車掌は、残念がってくれて、とてもフレンドリーで感じが良い。

 1月3日。食堂車で朝食を済ませた。ロッキーを越える大陸横断鉄道のような2階建ての車両ではないので、食堂車の作りも日本のとよく似ている。朝食を済ました頃に線路脇のニューヨークまであと233マイルの標識が見えた。あと5時間半となった。スピードは時速150km位。大きな駅の付近ではのろのろになり、日本のブルートレイン並によく揺れる。デッキは寒くうるさい。午後2時45分頃、定刻より少し遅れてニューヨークに着く。汚い駅。コンコースも狭く、これが長距離列車の着く駅かと少しがっかり。地下鉄に乗ってユースホステルへ直行。駅から近い。古い4階建てのビルの中を改造してユースホステルにしてある。部屋にいた日本人の青年とタイムズスクエアに一緒に行き、ステーキを食い、あの「キャッツ」を本場で見る。キャッツのチケットは50%オフのディスカウントチケット。32.50ドルで買った。劇場は満席だった。我々の席は1階の後ろの隅っこだが、ステージからそれほど遠くは無い。

 1月4日。一人で午前中洗濯。午後メトロポリタン美術館へ。1部屋全部がルノワールだったり、セザンヌだったり、ゴッホだったりする。ロダンの作品も多かった。美術館の中の食堂で高くてまずい飯を食った。夜はエンパイアステートビルに行く。86階までしか上がれない。ユースホステルに帰って夕食を自炊。こっそりビールを飲んで寝る。

 1月5日。スタテン島フェリーで往復。無料。天気がよくてマンハッタンも自由の女神ちゃんもよく見えた。その後、ワールドトレードセンターのツインタワー107階へ。高過ぎてよくわかんない。むしろ林立するビルのどれかの窓から眺めてみたい。ドルが減ってきたので、センター地下の銀行で1万円をドルに替える。81ドルにしかならなかった。1ドル=123円、かなり円安が進んでいる。

 1月6日。列車でニューヨークからボストンへ向かう。約52ドル。東京〜名古屋とだいたい同じ距離で5時間かかるが料金は東海道新幹線よりずっと安い。ボストンでもユースホステルに泊る。1泊15ドル(シーツ代含む)。

 1月7日。美術館へ行き、そこで4時間以上を過ごした。ボストンに着いた時、積雪がすごくてびっくりしたが、北だからと思っていたが、どうやらめったに無いドカ雪らしい。TVのニュースも大雪のことばかりだ。ユースホステル連泊。

 1月8日。はたして帰国のためのシカゴ行き005便はキャンセルになった。幸運にも明日の便に変更ができた。その夜はダウンタウンの古いホテルに泊。69ドルの割には部屋は狭い。学校に電話して1月10日(始業式の日)は年休をとる。

 1月9日(日)。005便はボストンを定刻に飛び立った。とても良い天気だ。シカゴからの成田行きのジャンボ機はとても良い。スチュワーデス達はとても明るい。自由だ。個性的だ。みんな自分流だ。日付変更線を越えて1月10日成田着。


 図らずも、この度を終えた1ヶ月後にお見合いをしてすぐ結婚したため、この旅が独身最後の海外旅行になりました。また20年近く国内国外の貧乏旅行を続けてきた僕にとって最初で最後の僕にとっては贅沢な旅行でありました。新婚旅行はフランスとスイス、0歳の子供を連れてのグアム旅行などなど、その後も国内国外の旅行は続いておりますが、最近は新聞の片隅から見つけ出したような超格安ツアーに家族で参加しております。

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